東郷和彦(元外務省欧州局長)

映画を見て、立ち上がれない衝撃をうけた。
難民として故国に帰れなくなった人が日本に来て、入国管理センターという釈放時期不明の拘留所に何年も拘束され、精神と肉体が壊れてゆく。日本国内に釈放されても、法律によって、仕事と収入が禁止され、自活する術はない。日本国家自身が、「自分がその立場におかれたらこの不条理がいかにすさまじいか」について想像力を持ち、制度自体を変えない限りこの不条理はなくならない。そういう自浄力を失った国に日本がなっているなら、日本国家に大きな未来は無いと思う。