阿部浩己(明治学院大学国際学部教授)

裁判官の審査もなく人間を無期限に収容する入管施設の闇は、途方もなく深い。難民申請を拒絶し、人権を踏みしだくその蛮性は、社会の無関心にも支えられて増殖してきた。被収容者がアクリル板越しに発する衝迫の訴えは、私たち一人ひとりに向けられている。現代日本に巣食う、暗澹たるこの不正義を正視しなくてはならない。